夾竹桃の花言葉!毒性で死亡事故!?葉や花、実の季節や特徴も解説!
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こんにちは!樹木博士です!
今回は「夾竹桃(キョウチクトウ)」という樹木について解説していきます!
さて、早速ですがキョウチクトウには気をつけてくださいね。
なぜなら….
毒があるからです!
その毒は強烈なものなので、決して侮ってはいけませんよ….
あなたに伝えたいこと
夾竹桃の特徴は?どんな木なの?
夾竹桃(キョウチクトウ)は、キョウチクトウ科キョウチクトウ属の常緑小高木(じょうりょくしょうこうぼく・一年中緑の葉をつける高さ約10m未満の木)です。
株元から多数の枝を出して株立ちとなり、下の方まで枝葉が茂ります。(樹高約3~5m程度に成長します)
↓↓↓↓
名前の由来は、葉が竹の葉のように狭く花が桃の花に似ているので漢名を夾竹桃といい、これを日本語読みにしたという説、葉が竹に似ていて、花が桃に似ていることから夾竹桃と呼ばれるようになったという説があります。
いろいろな有毒物質に強い特長があり、その経緯でいくつかの市町村の花に指定されています。
・千葉市の花木 首都圏であり公害が問題となっていたため、公害に強いという性質があることから昭和45年1月に制定されました。
・尼崎市の花 昭和20年代に、度重なる台風で尼崎南部が海水に浸かってしまった時、夾竹桃は残って花を咲かせ市民を元気付けたことから天災や戦災からの復興のシンボルとして選定されました。
・広島市の花 原爆の被爆地となり汚染された土壌には75年間草木も生えないといわれましたが、有毒物質に強い夾竹桃が最初に花を咲かせ、当時復興に懸命の努力をしていた市民に希望と力を与えたことから、原爆からの復興のシンボルとして制定されました、8月6日の平和記念日のころに花の盛りを迎えるので感慨を新たにさせる花とのこと。
その他にも鹿児島市、夷隅郡御宿町など。
生育がよく、丈夫な性質で、肥料も水やりも必要ないことから、園芸用として、とても優秀な樹木とされています。
強く剪定してもまた芽を出すので、樹高、樹形を簡単に調整できます。
夾竹桃の毒性がヤバい!?かなり危険な木…
夾竹桃には、毒性があります。
それが、花にも葉にも根っこにも、すべての部分にあるだけでなく、生えている周辺の土壌も毒化するほか、落ち葉でも長ければ2年間もの間毒性を保っています。(腐葉土にしても1年間は毒性が残ります)
また、切り花として花瓶に入れただけでも、花瓶の水が猛毒となるほど。
防衛物質を持っているということなのですが、人間にとっても危険なものとなりますので、注意が必要です。
害虫などもほとんど付かない樹木で、その点は園芸植物として優れています。(「ほとんど」というからには、いるんです、夾竹桃を食べる虫も)
日本ではキョウチクトウアブラムシが新しく伸びた枝に寄生する、シロマダラノメイガの幼虫が新芽や蕾を糸で綴って内部を食べる、九州の一部や南西諸島では、キョウチクトウスズメ(スズメガ科)の幼虫が、葉を食べて育つなど。
右上がシロマダラメイガの幼虫に食べられている新芽、葉に乗っているのがキョウチクトウスズメの幼虫です。
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毒の成分はオレアンドリンなど強心配糖体(心臓病に用いられる薬、治療域を超えると重篤な副作用が見られる)とも呼ばれるもので、植物中や動物中に存在していて、これまでに100種類以上が知られています。
強心配糖体は作用が激しいため、薬用として用いられるのはジギタリス(ゴマノハグサ科)とストロファンツス(キョウチクトウ科)に限られています。
↓↓↓↓(ジギタリス)
つまり残りの大半は有毒成分を持つ植物とされます。
ユリ科、ゴマノハグサ科、キョウチクトウ科、キンポウゲ科に多く見られます。
夾竹桃も、猛毒なのになぜ身近に多く植えられているのでしょう?
猛毒の植物というのは、夾竹桃だけではなく、よく見かけるものにも意外と多いんです。
チョウセンアサガオ、ジギタリス、トリカブト、スズラン、朝顔の種、福寿草、モロヘイヤの種、アジサイの葉、チューリップなど名前を聞いたことがあるし、見たことがあるものだけでも猛毒を持つ植物はたくさんあります、苗も種も普通に販売されています。
↓↓↓↓(チョウセンアサガオ)
今、挙げた全てが庭に植えてあるという人さえいらっしゃるのではないでしょうか?
↓↓↓↓ (トリカブト)
「ウラナル」より引用
↓↓↓↓ (ドイツスズラン)
↓↓↓↓ (朝顔)
「まとめnaver」より引用
幼児が誤って食べてしまい、中毒症状を起こすことはよくあるのだそうです。
小さいお子さんがいらっしゃる人は、特に心配になったりしますが、まだ目が離せないうちは独りにしない、切り花を飾る時は子供の手が届かないところに花瓶を置く、分かるようになったら、道端の草や花をむやみに食べてはいけないと教えてあげるだけで事故は起こらなくなります。
↓↓↓↓ (福寿草)
よく知られている有毒植物の画像を間に入れてきました、どれも人家の庭、公園などに植えられているものです。
観賞用に栽培した苗が売られていますし、それを庭に植えてガーデニングを楽しんだり、公園に数多く植えられたものが一斉に咲くのを眺めたりしているのが日常ですよね、でも、まだ小さなお子さんなどは、何でも口に入れてしまうことがあります、まず保護者が毒性があるものを知っておくのが大切だと思います。(誤食事故が防げます)
↓↓↓↓ (公園の夾竹桃)
最近では、夾竹桃を公園やキャンプ場に植栽することは控えられているようですが、夾竹桃中毒は日本では極めてまれなのだそうです。
お医者さんの立場からすると、まれなために、その診断が難しいことが予想され、重症例・死亡例もみられることから、早期に適切な治療を必要とするもので、植物毒による強心配糖体中毒の知識が診断・治療の一助となると考えられるとのこと、治療者側も夾竹桃中毒に関しては知識を持つことがいちばんだということらしいです。(つまり、万が一、お子さんが口に入れて中毒症状が起きてしまった時に、保護者の方が夾竹桃の葉を食べたとはっきり医師に伝えることができれば、それだけ早く適切な治療を受けられます)
成人が食べた場合の致死量は、0.30mg/kgで、夾竹桃の枝を箸や串の代わりに使って食事をするだけでも死に至るといわれていますが、摂取量と中毒の重症度とは相関がないとの報告もあるそうです。
中毒症状とその出現頻度は嘔気・嘔吐(100%)、四肢脱力(84%)、倦怠感(83%)、下痢(77%)、非回転性めまい(66%)、腹痛(57%)などとされており、治療はジギタリス中毒と同じなのですが、日本では未承認のものが使えないため、代用品を使うとのこと。
海外のデータですが、中毒患者が出たとしても、死亡率は4%~10%との報告があり、高いわけではないようです。
野外活動の時に、枝を調理に使ったり、小さなお子さんが触ったりしないように気をつけることを徹底すれば、怖がるものではなくなります。
夾竹桃は絶対に素手では触らない!
夾竹桃の部位で最も毒性が強いのは、枝と葉です。
剪定する際などは、枝の切り口から汁が出ますが、素手で触れてしまうと皮膚炎になったりします、「絶対に素手で触らないこと」これを知っておいてください。
↓↓↓↓ (幹から白い液 枝から透明の樹液)
触っただけなら皮膚炎で済みますが、最も気をつけなければならないのは、経口摂取(口に入れて食べてしまうこと)です。
小学校の近くや通学路でも夾竹桃が植えられているところもあり、おままごとや草笛などで安易に口に入れてしまう可能性があります。
↓↓↓↓ (学校にある夾竹桃)
最大の予防策とは何でしょう?危険性について、正しい知識を持つこと、保護者がしっかりと教えることです。
夾竹桃は、手をかけずとも丈夫に育ち、害虫の付きにくい重宝される樹木です。
そして、前出のように、猛毒を持つ植物は、他にも身近にたくさん存在しています。
それらの有毒植物を目にする機会も多いかと思いますので、美しい花やよい香りを楽しみながら、その都度、危険性を教えることが小さいお子さんを守ることになります。
自然について学ぶための貴重な生きた教材なのだそうです。
夾竹桃は過去に死亡例も…
歴史上でもアレキサンダー大王(古代ギリシア王朝の君主、在位 紀元前336年~紀元前323年)の軍隊で、夾竹桃の枝を串にして肉を焼いたために兵士が死んだと伝えられています。
夾竹桃は世界中で栽培されていますが、中毒症状を起こした事例も多く報告されています。
・枝を箸代わりに利用し、中毒を起こした。
・1975年フランスで夾竹桃の枝を串焼きの串に利用して7名の死亡者が発生した。(火で炙ったことで染み出したオレアンドリンが肉にも入り込みそれを食べたため)
・1980年に、千葉県の農場で牛に与える飼料の中に夾竹桃の葉が混入する事故があり、乳牛20頭が中毒をおこし、そのうちの9頭が死亡、混入した量は、牛1頭あたり、乾いた夾竹桃の葉約0.5g程度だった。
夾竹桃を燃やすのもダメ!!
夾竹桃の生木を燃やすのもダメ、枯葉や枯れ枝での焚火もダメ!なんです、燃え尽きた後の灰も猛毒で、燃えている時に出る煙にも毒性があるので吸い込むと危険です。
もし、夾竹桃の剪定後の枝などが出てしまった場合は、決して自分で燃やさずに、自治体に回収してもらいましょう。
自治体によっては、夾竹桃の枝葉を回収してくれないところもあります(アセビやウルシなど他の有毒植物も同様)、その場合、燃えるゴミとして出せば高温焼却が可能なので(高温で焼却した場合、毒性が緩和されます)回収してくれるでしょう。(使用している焼却炉の温度は、自治体によって違います、不安な場合は自治体に問い合わせてみましょう)
また、夾竹桃は街路樹や生垣としても使われているため、火災が発生した場合に燃えることも考えられます、むやみに火災現場に近づくと煙を吸う可能性がありますので、近くに夾竹桃がある場所を知っておくことが大切です、万が一、火災などが発生した場合は風下に行かないよう、十分に注意しましょう。
夾竹桃の分布!
夾竹桃は、インド原産で、日本へは江戸時代中期(1724年)に中国を経て長崎に渡来し、西日本の寺院などに植栽されたようです。
当初は寒冷地では育たないものと思われていましたが、現在では地球温暖化の影響によるものか、東北、北海道でも栽培が可能となっています。
原産地については、北アフリカ、南ヨーロッパ、西アジア、インド、中国西部にわたる広い地域であるという説、また、それぞれの地で原種があったという説がありますが、美しい花を咲かせることから観賞用として古くから栽培されており、正確な原産地は特定されていないという説が有力です。
現在、南北アメリカやオセアニアなど、世界の広い地域で栽培していたものが野生化しています。
日本で一番よく見かけるのは?、というと、高速道路なんです、首都高にある樹木の36%が夾竹桃だとのこと。
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なぜでしょう? 昭和49年に制度化された「環境施設帯」という、植樹帯、遮音壁設置に使用する土地(車道の端から20mの土地を取得したもの)に植栽された樹木に夾竹桃が多かったのがひとつの理由として挙げられます。
騒音や排出ガス、振動などに加え、景観、自然生態系の破壊などが、道路建設において重要な問題となってしまったからで、特に交通量の多い都市部の高速道路沿いでは、乾燥、大気汚染、有害物質に強く、他の樹木が枯れてしまう中、夾竹桃だけは耐えて生育したため、また葉が大きくて生い茂るため、遮音壁と併用して植えられたといいます。
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現在に至るまで緑化樹として広く植栽されているということです。
夾竹桃の花言葉を紹介!
夾竹桃の花言葉は、「油断大敵」「危険な愛」「用心」です。(由来は、強い毒性があることから)
う~、ここまで、毒の解説や、説教じみた重たい話を続けて来たような気がします。(気がするだけじゃなくて続けてましたって!)
そろそろ、キレイな花とか見てみませんか?
夾竹桃の花の特徴や開花時期は?
夾竹桃の花は、6月頃から10月頃までが開花時期で、この頃になると、枝分かれした先の葉の付け根から花柄(かへい・花を支える茎)を伸ばし、直径約4cm~6cmの花を数輪まとまって咲かせます。
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花弁(かべん・はなびら)は基の方が筒状で、先の方が平らに開いて5つに分かれ、それぞれがプロペラのように曲がる特徴があります。
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花の中央に副花冠(ふくかかん・花弁状の付属物)があり、毛糸を数本捻ったようなものが見えますが、これは葯(やく・雄しべの先の花粉が入った袋)につく付属体で、雌しべはさらにその奥にあるので、外からは見えません。
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白、赤、ピンク、オレンジ色など、多数の園芸品種があります。
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「ガーデニングの図鑑」より引用
一重咲きの他、八重咲き品種があります、いちばん多く見かけるのはこのピンクの八重咲き品種です。
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とてもキレイな花を咲かせるんですね! でも、実は? あまり見たことがないんですけど?
夾竹桃の実の特徴や時期は?
日本の場合、「花粉を媒介する昆虫は居ないので自然に種子が出来て散布されることはほぼありません」、というのが定説になっています。
しかし・・・これは、夾竹桃の実です。
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注意して見ると結構、実がついているのだそうです。
果実は細長いツノ状で、若いうちは緑色のため、同じように細長い葉に紛れて見つけにくいので、あまり果実が実ることはないと言われているのかもしれません。
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熟して褐色になると、普通に存在しているのがよくわかるようになるそうです。
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冬に、熟すと果実が縦に割れて、中から長い綿毛を持った種子を放出します。
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この状態になると、一層確認しやすくなり、意外に結構結実しているとのことです。
そうなると、受粉に関係した昆虫の存在が謎となります、夾竹桃の花には蜜がないからです。
一説には、花が派手で、僅かに芳香があるので、昆虫がもぐりこんで蜜を探すと言われています。
また、原種に近いものは実をつけるとの記載がある図鑑もあります。(原種も定かではないようです)
葉については、毒を多く含む部分だと解説しただけでしたが、花の咲いていない時期でも夾竹桃の葉だと見分けられるよう、しっかり特徴などを知っておきましょう!
夾竹桃の葉の特徴は?
夾竹桃の葉は光沢があり、長楕円形で、両端がとがった形をしています。
質感は、やや薄い革のような硬さがあり、幅は約2cm~3cm、長さは約10cm~30cm。
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葉の裏面には細かいくぼみがあり、その内側に気孔(きこう)が開いています。(気孔とは、葉に存在する小さな穴のことで、大きさが調節でき、光合成、呼吸、蒸散のために使われるものです)
↓↓↓↓ (葉の裏側)
葉序(ようじょ・茎に対する葉のつき方)は、対生、または輪生です。
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「コトバンク」より引用
↓↓↓↓ (対生)
↓↓↓↓ (輪生)
葉にクリーム色の斑が入る品種もあります。
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まとめ
この記事では、夾竹桃について解説していきました!
最初は、特徴などについて!
・常緑で、排気ガスなどの有害物質に強い
・丈夫で肥料、水やりの必要がない
・いくつかの市町村の花に指定されている
でしたね!
そして、毒性を持っていることについて解説していきました!
・全部位に強い毒性を持つ
・絶対に素手で触らないこと
・絶対に口に入れないこと
・まず正しい知識を持って、お子さんに教えることが大切
・剪定などで出た生木を燃やしたり、枯葉や枯れ枝で焚火をしないこと
・火災などで街路樹や生垣が燃えている場合は、煙を吸わないようにすること
でした!
また、分布や花言葉については、
・日本では現在寒冷地も含む各地で植えられている
・諸外国でも広い地域でよくみられる
・日本でいちばん多いのは、高速道路の植樹帯、遮音壁に沿った部分
・花言葉は、「油断大敵」「危険な愛」「用心」
でした!
それから、花や実、葉の特徴についても解説していきました!
・花期は6月から10月頃
・花色は、白、赤、ピンク、オレンジ色など多数の園芸品種がある
・実はほとんどつかないと言われているが、実際注意して見ると実がついていることも多い
・実が熟して割れると出てくる種子には綿毛がついている
・葉は、長楕円形で光沢があり、やや薄い革のような硬い質感がある
・葉にクリーム色の斑が入る品種もある
でした!
身近にある植物には毒性を持っているものが多いんですね。(私はよく知りませんでしたが、特に食べようと思ったこともなかったので、事なきを得ていたようです)
可食部のあるものの方が少ないんじゃないかという気がします。
夾竹桃の毒性が強いことを知った時は、結構びっくりしましたが、やはり、むやみに怖がるのではなく、正しい知識を持った上で接すればお互いにとってよいこととなりますよね。
肥料も水やりもいらないし、毒があるのでは、「わたしにかまわないで」という花言葉をつけられてしまいそうですが、害虫は人間が駆除してあげますし、伸び過ぎたら剪定してあげますよ、天災、戦災に遭って焦土と化してしまった地にいち早く生えて花を咲かせてくれたので、人々は希望が湧いてきたのだそうです。
花が美しいだけでなく、そんな強くて優しいところがある樹木だから、毒があっても世界中で植えられ続けているのかも知れませんね。
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どうも!樹木博士です!樹木にハマってから早40年以上。
小学生のときから、なぜか樹木が大好きでした。周りの子たちが スポーツやら恋愛やら遊びやらに励む中、私だけは樹木に夢中。
そんな風に育ったので、もちろん青春と呼べるような経験はほとんどありません。ただ、樹木に関しての知識や経験はたっぷりですw
樹木事典では私の樹木人生で得た知識や経験などを惜しみなく公開していきます!
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