ホオノキの花言葉やトチノキとの違いは?実は食べる習慣が?葉や花の特徴も解説!
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こんにちは!樹木博士です!
今回は「ホオノキ」という樹木について解説していきます!
ホオノキと似ている樹木にトチノキという樹木があるのですが、これとよく間違える人がいるんですよねー。
トチノキとの違いも解説していきますよー!
あと、ホオノキはドリアンみたいな実をつけるって知ってました?
あなたに伝えたいこと
ホオノキの花言葉は?
ホオノキの花言葉は「誠意ある友情」「自然の愛情」です。
良い花言葉ですね〜。
あなたの親友とかにホオノキの花を贈れば喜ぶかもしれませんね。
ただ、ホオノキのことについて詳しい私からしたらこの花言葉に対しては「なんで!?」となってしまうのですが…
実は、このあとに詳しく説明するんですけど、ホオノキには他の木の成長を邪魔する能力があるんですよ!
もし、「誠意ある友情」「自然の愛情」という花言葉にふさわしい木なら他の木の邪魔なんてしませんよね?
むしろ、他の木の手助けをするような木じゃないといけない気がする…
ホオノキは友情や愛情を持っている木というかは、どっちかというと自分の成長だけを考えている「自己中心的」な木なんですよね。
なんで「誠意ある友情」「自然の愛情」という花言葉になってしまったんだろうな…w
ホオノキとトチノキの違いは?
ホオノキにはよく似ていてよく間違われる木があります。
それは「トチノキ」という木です。
これらの木は全く別の木になるので間違えないようにしましょう。
名前もよく似ていますが、パッと見た感じでも「葉」がよく似ているんですよ。
ただ、よ〜く見ると違いがあるんです。
なので、まずは葉の違いから説明していきますね!
まず葉っぱの違いから説明します。
ホオノキの葉は、偽輪生です。
偽輪生とはパッと見は輪生(1か所から輪っかのように葉がでること)だけどちょっとだけ葉っぱの出所がずれているんですね。
一方でトチノキは掌状複葉という葉っぱをしています。
掌状複葉とは5枚の小さな葉っぱ(小葉)が1か所から出て、手のひらのような形をしている葉っぱなんです。
日本産の樹木としてトチノキの葉っぱは非常に珍しい形なんですよ。
人の血液型でいうとAB型の割合よりはるかに珍しいんです。
具体的には若葉を山菜で食べるコシアブラやヤマウコギ、ヒメウコギ、フカノキなど数えるほどしかないんですよ!
このようにトチノキはトチノキ科で掌状複葉を持つのに対し、ホオノキはモクレン科でふつうの単葉(たんよう)を持つ全くの別の仲間なんです。
ちなみに単葉とは1枚の連続した葉っぱのことを言います。
しかしホオノキの葉っぱは、枝先に葉が車輪上に集まってつく(偽輪生)のでまるで掌状複葉のように見えるんです。
トチノキとホオノキの葉っぱは大きさから形まですごく似てるんです。
山の中では両者が混在して生えているので、ハイカーの間でも区別方法はしばしば話題の種になるんですよ。
ここまで似ている両者ですが実際どう見分けるといいのでしょうか。
まず葉っぱの付け根に注目しましょう。
トチノキは5枚の小葉の付け根がぴったりと1か所に集まっているのに対し、ホオノキの場合はあくまで複数の葉が集まっているだけで葉っぱの付け根の位置は微妙にずれています。
つまりトチノキは1枚の葉っぱだけどホオノキは複数の葉っぱの集まりということなんです。
また葉っぱの特徴はトチノキは小葉のふちに鋸歯(きょし:ギザギザ)があるのに対してホオノキはありません。
じっくり細かいところまで観察すると意外と違いがあるんですよ。
次は芽について注目してみましょう。
一般的に芽は枝の先につくので、ホオノキの場合は葉の集まる中心にあるんです。
でもトチノキの場合はないんですね。
というのは1枚の葉っぱなので決して枝の先端ではないからなんです。
また実にも違いがあるんです。
ホオノキはトゲトゲがいっぱいの赤いドリアンのような実をつけるんです。
かなりグロテスクで強烈なインパクトがある実なんですよ。
一方でトチノキはキウイフルーツのような色のまるまるとした実をつけます。
実はこのキウイフルーツのような皮の中におなじみの栗のような種子が入っているんです。
最後に花に注目します。
枝先に15から20センチの大きな大きなクリーム色をした杯形の花を上向きに付けるのがホオノキの花。
「みんなの花図鑑」より引用
ソフトクリーム状に小さな花が鈴なりに咲くのは栃の実。
どちらも個性的な花で一度見ると印象に残るきれいな花ですよ。
よく似ている両者でも花の形は全く違っていてはっきりと区別できちゃうんですね!
ホオノキってどんな木?特徴は?
ホオノキはモクレン科の落葉高木。
大きくなる木で、樹高30メートル、直径1メートル以上になる巨木もあるんです。
北海道、長野、岐阜、富山などの山岳の多い地域に分布。
地域からわかるとおりホオノキは寒さに強い樹木なんです。
さらに樹勢が強く、病害虫も少ない。
ちなみにホオノキは強い他感作用(アレロパシー)を示すことがわかっているんです。
他感作用(アレロパシー)とはほかの植物にとって成長阻害物質を出して自分の周りにほかの植物を生えさせないことを言うんです。
そのため秋になるとホオノキの周りは落葉した葉っぱで覆い尽くされちゃうんですね。
「筑波実験植物園」より引用
ほかの植物が生えない→病害虫が寄ってこない→病気になりにくい→強い木という循環が成り立つわけです。
自分の身を守るために植物はいろんな知恵を持っているんですよ!
そんなホオノキ、枝が少なく、まっすぐな樹形へ自然に形が整いやすい。
剪定によって逆に形を乱れさせてしまうことも。
剪定をする時は注意しましょう。
樹皮はすごく厚いため「厚朴(こうぼく)」と呼ばれるほどです。
国産のホオノキは、朝鮮半島・中国のものと区別するために「和厚朴(わこうぼく)」と呼ばれているんです。
このホオノキの樹皮、実は漢方薬に使われるんです!
効能は便通作用、整腸作用、鎮痛作用などがあるんですよ。
身近な木にこんな効用があるなんてびっくりですね!
さらにホオノキは木材として、割れや狂いが出ることが少ないので家具などとしても利用されてきました。
私たちはいろんな場面でこのホオノキにお世話になっているんですよ!
ホオノキの実は食べることができる!?見た目がグロいけど特徴や香りは?
果実は袋果(たいか)で、たくさんの袋がついている。
袋果とは内部に種がある袋状の果実のことなんですね。
ホオノキの場合、各袋に0~2の種子が入ってるんです。
秋に赤く熟す果実はまるでドリアンそのもの。
長さ10センチ~20センチと大きさまでドリアンとよく似ているんです!
でも赤いドリアンはないし、まさかこんな日本の山にドリアンの木があるわけないですね笑
らせん状にたくさんのトゲトゲの袋果がついている様子はかなりのインパクトがありますよ!
森のなかでも美しく目立つので「食べられますか?」と聞かれる方が多いですが、残念ながら食べられません。
食べることはできませんが、この実を使って自家用のお酒を作る人はいるみたいです。
なんだかトロピカルな味がしそうですね!
また果実を乾燥させて消化薬、下剤、鎮痛剤などとしても活躍してきました。
果実の中には赤茶色の種子が入ってるんです。
果実は熟すと赤くなり、その重みで葉の下にぶら下がります。
そして10月ごろ、ぶら下がった果実の袋が割れて中から赤茶色の種子が飛び出してくるんです。
さらにこの果実、とってもいい香りがするんですよ!
ホオノキの果実と種子はどうしてこんなにも目立つ色や形をしているんでしょうか。
それは鳥に食べてもらうためなんです。
鳥は果実と一緒に種も食べ、移動します。
移動先で糞と一緒に種子を地面に落とすんですね。
こうやって色、形、香りで鳥をおびき寄せ、自生している場所から離れた場所でも子孫を増やしていくんです。
ホオノキの実、漢方では和厚朴実といって、健胃剤や腹痛薬として使われます。
樹皮と同じく苦い煎じ汁を使うそうです。
この煎じ汁、決しておいしくないそうです。
私は飲んだことがないのでわかりませんが、杉や松のヤニのような強い芳香+苦みと甘味+うがい薬の清涼感が入り混じったような味だそうです。
もはや混沌としていますね。。苦笑
ただこの味を聞いただけですが、なんだか体には効きそうな感じはします。
ただし神経性の筋弛緩作用のある成分もふくまれているので大量摂取は控えたほうがいいです。
ホオノキの花の開花時期や特徴は?
葉と同様に大型の白い花を咲かせるんです。
6月ごろ咲き、甘いフルーティーな香りを漂わせます。
「植木ペディア」より引用
かなり強い香りを放つんですが、実際のところ高い木の上で花が咲くため、なかなか近くで匂いを楽しむことは難しいんですね。
花は真上に向かって開花して、その様は花の王様と言いたくなるほど堂々として品があります。
私が見たところなんだか蓮の花にいている気もするんですが。。
花びらは6~9枚あり直径15~20センチほど。
やはり大きいですね!
はじめは純白で、のちに黄変します。
がく片(花びらの付け根にある葉っぱみたいなもの)と花びらの区別が明確でなく、モクレン科の植物の原始的特徴を引き継いでいるんですね。
両性花なので雄しべと雌しべを1つの花に持っています。
雄しべ・雌しべ共に花の中央に多数あり、雌性先熟成があるので、開花後雌性、翌日に雄性さらに翌日には生殖機能を失う。
つまり雌の時期と雄の時期があるんですね。
1日目が雌の時期。
2日目が雄の時期。
3日目には生殖機能がなくなる。
ここで不思議なのは雌と雄の時期が入れ替わりになっていることです。
受粉できないじゃないか!と思われる方もいると思います。
私も不思議でした。
これは自家受粉を防ぐための知恵と考えられているそうです。
一般的に自家受粉すると遺伝的組み合わせの多様性が低下します。
このことは自然界での適応能力の低下を意味していて、結果として植物体が弱くなっていくというわけなんです。
そのため同じ木のホオノキの花は同時に開花することは少なく順々に開花するんです。
ホオノキの葉の特徴は?名前の由来が葉にある!?
飛騨高山地方(岐阜県)の郷土料理、朴葉味噌などで葉っぱが使われているホオノキの葉っぱ。
長さ20~40センチの葉で、トチノキに並ぶ大きな葉を持っています。
葉っぱが大きいので昔から食器の代用として用いられてきたんですね。
ホオノキの葉っぱには芳香があり、岐阜県、長野県、奈良県では朴葉寿司などの郷土料理も有名です。
さらに殺菌作用もあり食材を包むにはもってこいなんですね!
そしてこの包む作業、「包(ほお)」がホオノキの語源という説もあるんですよ!
昔はラップやアルミホイールがなかったので同じように使えるホオノキが大活躍だったわけです。
6世紀の王塚古墳の発掘時には、王様が安置されている部屋の杯の下にホオノキの葉っぱが敷かれていたんですよ!
こんなにも昔からホオノキの葉っぱが利用されていたとは!
葉柄(葉っぱと茎を結ぶ部分)は3~4センチと短い。
葉の形は倒卵状楕円形(卵を逆さにして引き延ばしたような形:とうらんじょうだえんけい)をしています。
枝先にらせん階段のように葉をつけるんですね。
前述のとおり、葉の付け根は同じ場所じゃないが、同じ場所に付いているように見えるんです。
葉色はきれいな緑色で、葉裏には白い粉を吹くんです。
私は黄緑に近い色に感じました。
ホオノキはどこに生えているの?
北海道から九州まで、各地の山地に自生しています。
日本のほか中国、朝鮮半島にも自生しているんです。
日本各地に幅広く自生しているので、生活の中で広く親しまれてきた木なんですね!
また最近では端正な樹姿が好まれて、全国で観賞用としても楽しまれています。
まとめ
さて今回はホオノキの特徴を簡単に説明してきました。
ホオノキは、葉、花、実ともに大型でインパクトのある樹木でしたね。
また昔から人の生活に広くかかわってきた樹木でもありました。
葉は食器やサランラップの代わり。
実と樹皮は漢方薬として活躍してきましたね。
木部は家具として使用されてきました。
名前はよく聞く樹木ですが、ここまで人間がお世話になってきた木も少ないのではないでしょうか?
山に出かけるときはインパクトのある葉っぱや花、香りを楽しんでみてください!
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どうも!樹木博士です!樹木にハマってから早40年以上。
小学生のときから、なぜか樹木が大好きでした。周りの子たちが スポーツやら恋愛やら遊びやらに励む中、私だけは樹木に夢中。
そんな風に育ったので、もちろん青春と呼べるような経験はほとんどありません。ただ、樹木に関しての知識や経験はたっぷりですw
樹木事典では私の樹木人生で得た知識や経験などを惜しみなく公開していきます!
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